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石山 新太郎
日本原子力学会和文論文誌, 2(1), p.14 - 23, 2003/01
高温ガス炉を利用した先進的核熱変換プロセスとして、固体燃料電池(SOFC)を利用したメタンの部分酸化反応による電力水素併産システムに関する概念検討を行った。その結果、下記結論が得られた。(1)電力水素併産システムでは、発熱反応であるメタンの部分酸化反応系にエンタルピー変化と等量の核熱を投入することにより、電力,膨脹仕事エネルギー及び合成ガスを同時に併産できるシステムである。(2)その際、核熱投入量の熱電変換効率を電力/(核熱+反応エンタルピー)で定義した場合、理論的には100%となる。さらに、メタン燃料を合成ガスに転換した場合の熱エネルギー変化は反応エンタルピー分であり、極めてわずかのエネルギー変化でのエネルギー変換が可能である。(3)電力水素併産システムでは、1273K級の高温場における高性能固体電解質が必要であり、そのため本研究ではCe(SmM)Oについて3b族(M=Mg,Al,In,Ga)を中心としたSmサイトへのメタルカチオンの置換による組成最適化を行った結果、CeSmInOの最適組成を決定した。(4)1273Kにおいて本固体電解質による電力水素併産試験を実施した結果、自由エネルギー変化Gの約74%を電気変換することに成功すると同時に、その際のメタン転換率として約90%を達成した。以上の結果から、核熱を電力にすべて変換できる究極的なエネルギー変換システムがあり得ることが結論された。